大阪高等裁判所 昭和63年(ネ)1019号 判決 1989年1月18日
控訴人(原告)
志水和子
ほか三名
被控訴人(被告)
興亜火災海上保険株式会社
主文
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
第一当事者の申立
一 控訴人ら
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人志水和子に対し金六〇〇万円、同志水俊彦、同志水春与、同時廣美代に対し各金二〇〇万円及び右各金員に対する昭和六一年五月一六日から支払いずみまで年五分の割合による各金員を支払え。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
4 仮執行の宣言
二 被控訴人
主文と同旨
第二当事者の主張
当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実欄摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。
(原判決の訂正)
1 原判決三枚目表八行目の「五二歳」の次に「(昭和八年六月一七日生)」を加え、同末行目及び同裏一行目の「金四〇八八万八四八五円」を「金四〇〇九万二一三五円」と改め、同裏二行目の「×400」を削除し、「40,088,485」を「40,092,135」と、同七行目の「二〇〇四万四二四二円」を「二〇〇四万六〇六七円」と、同八行目の「各六六八万一四一四円」を「各六六八万二〇二二円」とそれぞれ改める。
2 同四枚目表五行目の「三〇〇四万四二四二円」を「三〇〇四万六〇六七円」と、同六行目の「各九六八万一四一四円」を「各九六八万二〇二二円」とそれぞれ改め、同九行目の「志水の俊彦」の次に「、」を、「同志水春与」の次に「及び」をそれぞれ加える。
3 同四枚目裏一一行目の「おわず」を「負わず」と、同一一、一二行目の「責任がない。」を「賠償金の支払義務がない。」と、同五枚目表二行目の「あたり」を「当たり」とそれぞれ改める。
(当審における双方の主張)
一 控訴人ら
訴外香川は被害車両がまさにセンターラインに寄り更にこれを突破しようとする異常な事態を本件実況見分調書上の<2>点(その間の両車両の距離七六・八メートル)において確認し、右地点で危険を感じ、パツシング、クラクシヨンの措置をとつたのであるから、同時に本格的に急制動、ハンドル操作に入つておれば、もつと早く左に寄つて停止できた筈であり、そうすれば、被害車との衝突を回避し、あるいは衝突したとしてももつと軽い衝突ですんだ可能性がある。したがつて、いずれにしても、訴外香川が無過失であるとは到底認められない。
二 被控訴人
1 訴外香川は、被害車両がセンターラインをはみ出しそうになりながら(未だセンターラインをオーバーしていない)進行して来るのを認めたので、これに対しパツシング、クラクシヨンで相手に警告したものであり、その後、被害車両は右警告にも拘らずそのままセンターラインを越えて来たので、訴外香川は急制動の措置をとつたものである。
2 運転者は、対向車が未だセンターラインを越えていない時にまで、急制動をとるまでの注意義務はなく、訴外香川がパツシング、クラクシヨンの警告をなしたことで注意義務は尽されている。
第三証拠関係
原、当審記録の証拠関係目録記載のとおり。
理由
一 当裁判所も、控訴人らの本訴請求は理由がないものと認めるが、その理由は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の理由説示と同一であるから、ここにこれを引用する。
1 原判決六枚目表一一、一二行目の「甲第一ないし第四号証、第六、第七号証」を「甲第一ないし第七号証及び第二三号証」と改め、同裏三行目の「直線」の次に「で且つ平坦な」を、「追越」の次に「(はみ出し)」を、同五行目の「南側には」の次に「幅二メートルの」をそれぞれ加える。
2 同七枚目表一一行目の「二・五メートル」の次に「、車高二・九五メートル、最大積載一〇五〇〇キログラム」を、「あること」の次に「、他方、被害車両は、車体の長さ五・九一メートル、車幅一・九九メートル、車高二・一三メートル、最大積載量三〇〇〇キログラムの普通貨物自動車であること」をそれぞれ加える。
3 同八枚目表一行目の「いうものの、」の次に「未だはみ出しておらず、また」を、同六行目の「亡龍雄が」の次に「正常な走行に戻り」を、同一〇行目の「いえない。」の次に、「よつて、控訴人らの当審における主張は採用することができない。」をそれぞれ加える。
4 同八枚目裏三行目の「左後輪」の次に「のみ」を、同五行目の「右事実は」の次に「加害車両の荷重又は道路の状況によつてあり得るところであり、必ずしも不自然ではないから」をそれぞれ加える。
二 してみれば、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 大和勇美 久末洋三 稲田龍樹)